2018年 04月 17日
いつのまにかいつかの風が カトル |
彼のことを知ったのはあるガイドブックで『期待の新人』みたいな賞をもらったことを伝える小さな記事を見つけたから。
2007年2月のフランス旅行の際どうしても彼の料理を食べたくて夕方の仕込み中の店へ予約を頼みに行きました。
その時に彼本人が対応してくれたことがもしかしたら僕のその後のフランス料理観を決定したのかもしれません。
当日で予約は満席でしたが21時過ぎに来てくれたら2回転目の席を用意すると約束してくれました。
まだプリフィックスだったコースの中から“アンディーブのキャラメリゼ" "ブッフ オ キャロ" "ババ オ ロム"とクラシックでビストロらしいメニューを選んだのですがそのどれもが素晴らしかった。
適切な調理と調味。
シンプルでナチュラルな盛り付け。
意外性のあるスパイスや付け合わせも食べると腑に落ちる。
とても美味しい。とても美味しかったし感動さえした。
その気持ちを伝えようとトイレの横にある小さな厨房に行き(フランスは結構お客さん厨房に入ってきますね)酔った勢いに任せ熱く伝えました。
営業も終盤で手が空いてきた彼も僕に興味を示したのか『カウンターで一緒に飲もうぜ!』と誘ってくれてグラスを重ねました。
僕が神戸の料理人であることや彼が気になる日本の食材のことなどを話したのでしょうか?最後に互いの携帯番号を交換してオヴァー。
興奮しすぎて寝言で彼と話していたことを同室だったスタッフが翌朝教えてくれました。
神戸に戻り結局いっぱいご馳走になったワインのお礼にと彼が気になっていた日本の食材を送りました。
それから2ヶ月が経った頃、彼から『明日神戸に行く。よろしく』といきなり電話があり今度は僕の店で食事をしてもらいました。
めちゃくちゃ緊張しましたよ。
食後に僕の料理はフランス料理たり得ているか?(日本の食材を使おうがアジアのスパイスで調味しようが僕にとってはとても大切で不安なことなんです)と、聞いた時に『お前のパーソナルな上に成り立つフランス料理だと思う。そしてそれは俺達ととても似ている。』と言ってくれて(フランス人はリップサービス上手いですがw)僕の中では彼との友情が成立したそれは記念すべきディナーになりました。
by anonyme-kobe
| 2018-04-17 21:56