2017年 12月 06日
続 そして カイベー |
さて、カイベーでの2日目。
この日の僕たちの予定は翌日の本番に備えて会場となるトン邸を見学すること、市場に行って仕入れとある程度仕込みをしておくこと、午後からは今日トン邸で料理を披露するベトナム南部の有名女性シェフのサポートをすること、となっていました。
本来なら市場には日越交流団の本隊で来ている学生さん達と9時ごろから船上マーケット(カイベーの観光スポット)を見学しながらゆっくりと買い物をする予定だったのですが前夜にキエットさんが『私の仕入れに一緒に行く?』って誘ってくれたのであれだけ良い食材を使っている人と行けるのは有り難いと時間を早めて6時起きでかき集めてもらった自転車に乗って先導するキエットさんについて凄まじいバイクの行き交う船上マーケット横の常設市場へ。
小さなタープが密集する市場に着くとこの地の名産だという青い蜜柑を先ず買って彼女の仕入れについて行きながら食材をチェック。
驚くほど多彩な食材。内陸部のこのマーケットでは流石に海産物は少ないですが野菜、果物、川魚、肉、乾物、トーフ、漬物などなどが所狭しと並んでいて玄斎さんとひたすらテンション上がりました。
トーフや手長海老を買おうとしていると自分の仕入れをしているキエットさんが『早く行くよ』的な感じでなかなか僕たちに買い物をさせてくれません。『はよ買って仕込みしたいのになぁ』と思っている僕をよそに市場のあちこちで馴染みの店で挨拶をしているキエットさんが立ち止まり振り向き『トーフはこの店、手長海老はあっちの店。あっでも海老は当日買った方が絶対に良いから明日の分注文しておいたら?』山ほどある店の中でそれぞれのスペシャルなお店を教えてくれました。
バラ寿司を作る予定の玄斎さんには米屋さんと何やら話しながら数十種類ある(僕にはどれも同じに見える長粒米の)中から一つを選んでくれていました。
その後もあれやこれやと欲しがる僕らに『豚肉はここ、ナマズはあそこ』といった具合にずっと付き合ってくれていました。
同じ商品を扱う店でも良い商品を置いている店とそうでないお店があるのは当然(もちろん価格も違いますが)なのですが彼女は自分の体得してきた全てを僕らに教えようとしてくれていました。
ランチの時間が迫っているキエットさんが時計を気にしていたので『あとは自分達でなんとかやります。ありがとう!』って言ったら『私は良いけどあなた達はこの後本隊と9時に合流しなくて良いの?』って…
どんだけ優しいねん…
大丈夫と答えた僕たちを見てニッコリ笑ったキエットさんは朝ごはんを食べるために入り組んだ市場の奥の方のフォー屋さんに連れて行ってくれました。
ベトナム南部ではフォーよりもブンという細い麺を食べることが一般的らしく(フォーとブンの距離ははおそらく蕎麦とうどんよりも遠いと思われます)皆んなで至福の朝食。
感動的な旨さのベトナムコーヒーまでご馳走になって、さてとではトン邸に向かいますか!と
日差しがジリジリと力を出し始めたそれでもまだ朝のカイベーの街を勢いよくペダルを漕ぐ僕はふと思いました。
これだけ豊かな食材があって、地の利にかなった素晴らしい料理があって、市場の人皆んな平和(ヨーロッパのマーケットにあるようなリスクは多分ここには無いです)で幸せそうで…
こんな恵まれた町で何を作るのだろうか?
誰のための料理を作れば良いのだろうか?
流れ出た汗は暑さのせいではなく久しぶりの冷や汗でした。
アカン。これ長くなるパターン。面倒臭いけどもう少しお付き合いください。
カイベー日記が終わったら焼き豚と年末年始の告知をちゃんとしますから。
by anonyme-kobe
| 2017-12-06 23:12